伊客船事故の救命ボート問題
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(以下引用)
乗客乗員約4200人を乗せて座礁したコスタ・コンコルディア号の運営会社カーニバル<CCL.N>は19日、今回の事故で「社内の安全対策や緊急対応策 に疑問が投げ掛けられた」と表明。ただ、カーニバルの広報は、同社が行う安全対策の見直しに救命ボートの使用法が含まれるかどうかについては、明らかにし なかった。
ベテラン船員らは、コンコルディア号が座礁後に横転したことで救命ボートの使用が困難になったと指摘した上で、クルーズ船業界には解決されていない問題があると口をそろえる。
<タイタニックの教訓>
元オイルタンカーの船長で、現在は海上リスク管理企業「マリーン・リスク・マネジメント」を経営するジョン・ダルビー氏は、「タイタニックの沈没を受けて 作られた規則は、その惨劇の再発を防ぐためだったが、また起きてしまった。高い位置から救命ボートを下ろす難しさが露呈した」と語った。
タイタニック号の事故を受け、定員の最低125%分の救命ボートの配備が義務付けられ、船体の両側にそれぞれ50%と、追加の25%を用意する規則が作成 された。国際海運会議所(ICS)によると、ボートは5分以内に使用準備が整えられ、即座に乗客らを乗せるよう定められている。
しかし、救命ボートを下ろせなかったり、悪天候や岸から離れすぎている場合などは、この規則は効果を発揮しない。このことは、救命ボートが足りず、一部のボートを適切に下ろすことができなかった1912年のタイタニック号事故から学んだ教訓だった。
「タイタニックの事故に非常によく似ている」と話す英ロイズの海上保険担当者は、「恐ろしかったことは、横転するまでの時間がとても短かったこと。また、もっと沖に出ていたらさらに多くの犠牲者が出ていただろう」とコメントした。
<海運業界の安全基準>
造船技師で海上安全の専門家、トム・アラン氏は「救命ボートの使用は20度の傾きまで対応できるように求められている。ただ、20度以上になっても、私は多くのボートが使用可能だと考える。その場合、下ろしても安全かどうかの判断を船長が下す必要がある」と強調した。
クルーズ船を手掛ける独造船会社マイヤー・ベルフトの広報は、「客船の平均サイズがこの10年で大きくなってきているが、それに対応するため安全基準も変 更されている」と説明。「航空業界や海運業界は、自動車業界とは異なる。安全システムの面で無駄が多い。われわれには根本的な危機が存在しないため、業界 には(コスタ・コンコルディアの)大きな影響は見られない」と述べた。
フィンランド運輸安全局のTuomas Routa氏は、「もし多くの人が海に投げ出された場合、救出するのは困難を極める。新しい船はもっと安全なものとなるように変化が加えられる」との見通しを示した。
船の構造上の改善に加え、船員の新たな訓練システムの導入も求められるだろう。元米海軍少佐で海事弁護士のデービッド・ロー氏は、「クルーズ船業界は少し独特で、訓練や審査過程が他の船舶と違う」と指摘する。
ロー氏をはじめとする専門家は、世界的に見て訓練の実施方法などにギャップがみられるとしているものの、熟練の船員らからは、避けては通れないデザイン上の問題が依然として残っているとの声が聞こえる。
元船長のマイク・スミス氏は、「タイタニックの事故で、全員を救命ボートに乗せられるようボートの数が増やされ、水密隔壁の高さも見直された。しかし、デザインやトン数に関する規則が変更されてきたため、この領域の問題解決は難しいままだ」と話した。